文学フリマ大阪10周年記念 スタッフ投稿リレー6 ニューフェースから見た文学フリマ大阪

 いよいよ開催直前となりました。夏休みを取ったため、例年より準備に時間を割けている代表です。荷造りをしていましたが、多いですね。荷物運びにもう一人私が欲しいほどです。まだまだ準備は続きます。休憩の合間にこうした更新をしています。
 さて、第6弾となる今回はTwitterから応募頂いて今は中心で活躍されているスタッフからの投稿です。「ニューフェース」と書きましたが、今や中堅の位置ですね。

 文学フリマ大阪10周年を記念して、大阪スタッフで原稿を寄稿しよう。そんな話が舞い込んではや数ヶ月、自分の持ちネタの少なさに愕然とした。改めて文学フリマにまつわる記憶を手繰り寄せると、両手で収まる程度の数しかなかったからだ。

 これでは書くものも書けない、何かネタを。わらにもすがる思いで、文学フリマ大阪の公式ブログを読み漁った。良い機会なので、公式ブログを読み返して思い出した、自身の来歴をここにアウトプットすることにする。

 私が文学フリマのスタッフに応募したのは2018年度の大阪開催終了後で、初めてイベントに参加したのは翌年の京都。Twitterでスタッフ募集のツイートを見かけるまで、文学フリマの存在すら知らなかった。

 スタッフに応募したきっかけは、就活のガクチカで書けそうという下心もあった。良い感じのボランティア、あわよくば自分の好きな文字や小説に関わるものだったら良いな、ぐらいの温度感だった。上記の通り文学フリマに関わって歴の浅い私は、文学フリマ大阪10年の変遷をこの目で見てきたわけではない。なので、私がスタッフとして参加して感じた3年半についてのエッセイをしたためたいと思う。

 

 2018年から、文学フリマ大阪の会場はOMMビルだ。京阪電車と大阪メトロに隣接し、大阪はじめ関西一円のアクセスも良好。天気の良い年には、会場の大窓から大川はじめビジネス街を一望できる。私は開場前の閑散とした会場で、窓から外の景色を眺めるのがとても好きだ。アクセス・眺望ともに優れたOMMビルで開催される文フリ大阪の1番の特徴は、「雑多」だろう。

 スタッフとして関わるまで文学フリマそのものを知らなかった私は、「文学フリマコミティアの文学版」という言葉を額面のままに受け止めていた。コミティア=オリジナルの漫画頒布会の認識だったので、その方程式に代入して文フリ=オリジナルの小説頒布会だと思い込んでいた。

 なんだったら、二次創作の小説頒布は文学フリマのターゲット外であることも知らなかったので、先輩スタッフの一言を聞いて、内心ひやっとした。学生時代の黒歴史を掘り返されるのだけは嫌だったからだ。オリジナル小説の頒布イベントだと思い込んだまま迎えた、2019年の文フリ京都。設営時に手に取ったパンフレットを開いて、頒布ジャンルの雑多さに驚いたのを今も覚えている。小説はもちろん、エッセイや詩集、写真集まで多岐に渡っていた。初めての参加だったため先輩スタッフからレクチャーを受けていたが、正直心ここにあらずだった。設営が進むにつれてごちゃついていく風景に、心臓がバクバク鳴っていた。

 訪れる来場者もさまざまだ。幼い子連れの夫婦、壮年の男性、若いカップル、大学のサークル集団。受付で高校生にパンフレットを渡した時には、私が20年間気づけなかったイベントを、一体どこで知ったのか……と、ほのかな嫉妬心さえ芽生えた。

 ベタな言葉になるが、言葉で表現するなら多種多様。来場者と短い事務的な会話を交わすだけでも、大阪以外から訪れている人も少なくないと感じる。コロナ禍になる前に開かれていた懇親会で出会った方は、はるばる北海道から毎年参加していると話していた。私は私以外のバックグラウンドやライフスタイルを持つ人とお話しするのが大好きなので、今切実に願うことは早くコロナ終息して懇親会を再開したい。これを読んでくださってる方、次回の懇親会でぜひお話ししましょう。

 

 世界のいろんなことが変わったり変わらなかったり、なくなったり生まれたり。書き手のジャンルが変わることもあるだろうし、来場者が増えたり減ったりすることもある。それでもそれが好きな人が一人でもいる以上、それはそこにあり続けるだろうと私は考える。文学フリマというイベントはもちろん、それ以外も。その場所はそれが好きな人のためにあり続けるし、なくてはならない。

 文学フリマのスタッフとして参加する私が、場所を楽しむ人の役に少しでも立てればこれ幸い。パンフレットを配る人は一人でも多い方が良いし、本を置く大きな机は三人で運んだほうが効率が良いからだ。来年、再来年、その先がどうなるかはわからないが、多分きっと、おそらくジーパンで会場を走り回っている気がする。あのカオスで雑多な会場が、面白くて好きだからだ。

 

 最後に、本企画の企画者様へ。原稿の締め切りを踏み倒しまくって本当にすみません。最近文字書きから離れていたツケが回ってきたのか……。これを機に、もう一度筆を握り直したいと思います。